1口1万円の不動産セキュリティ・トークンが登場する。スターツコーポレーション(以下、スターツグループ)、みずほ証券、Securitize Japanは、不動産セキュリティ・トークン(STまたはデジタル証券)の公募および発行について協働すると5月12日に発表した。基盤には、Securitizeが開発する分散型台帳技術を用いたシステム「Securitizeプラットフォーム」(Securitize PF)を活用する。関係者によると、信託会社が初めて公募型不動産セキュリティ・トークンを手がけたケースになったという。みずほ証券にとっても、公募型不動産セキュリティ・トークンは初の取り扱いだ。リリースによると、「スターツ・アセット・トークン~両国・千鳥町~(譲渡制限付)」は、東京都とスターツグループが共同で組成した「官民連携福祉貢献インフラファンド」において認可保育所および共同住宅の複合施設として運営実績がある「福祉貢献型建物」2物件を投資対象不動産とした不動産セキュリティ・トークン。スターツ信託がSecuritize PFを用いて、本STに係る財産的価値の記録および移転に必要な秘密鍵などの情報を管理するという。〈スキームのイメージ図:リリースより〉スターツグループは、建設・不動産事業を中心に幅広く事業を展開し、総合生活文化企業を掲げている。これまで各種の不動産証券化事業に取り組み、グループ内にスターツアセットマネジメント、スターツ信託、スターツ証券を擁する。今回の不動産STは、グループ各社が連携して取り組んだ形になる。商品の概要は以下のとおり。| | || --- | --- || 名称 | スターツ・アセット・トークン~両国・千鳥町~(譲渡制限付) || 投資対象不動産(鑑定評価額) | プロシード両国2(1,200百万円)/プロシード千鳥町(606百万円):2025年3月末時点 || 発行総額 | 8.28億円 || 発行口数 | 82,800口 || 発行価格 | 1口1万円 || 申込単位 | 10口以上1口単位 || 募集有価証券の種類 | 受益証券発行信託の受益権を表象するセキュリティ・トークン || 運用期間 | 約4年8か月(2030年1月期 償還予定) |日本の不動産セキュリティ・トークン市場は今年、大きな成長が期待されている。また最近では、クレディセゾンがクレジットカード会社初の不動産STを自己募集で発行するなど、スキームの多様化も進んでいる。▶関連記事:クレジットカード会社初の不動産ST発行、「セゾンのスマート不動産投資」「スターツ・アセット・トークン~両国・千鳥町~(譲渡制限付)」は、信託銀行ではなく、信託会社が不動産STの発行者(受託者)となっており、スキームの多様化をさらに進めたものになる。不動産セキュリティ・トークンをはじめとする、リアルワールドアセット(RWA、現実資産)のトークン化は、グローバルで見ても大きなトレンドとなっている。また3月末に日本での取り扱いが実現したステーブルコインの普及にも大きな役割を果たし得る。▶関連記事:2つの「S」が未来を切り開く──ステーブルコイン×セキュリティ・トークンで世界規模の「RWAトークン化」競争を勝ち抜く【コラム】デジタルアセットに精通したTMI総合法律事務所パートナー弁護士の成本治男氏はXに「かなり長期にわたってサポートさせて頂いてきたスターツグループさん(スターツ信託・スターツアセットマネジメント・スターツ証券)による受益証券発行信託型不動産セキュリティトークンの案件がついにリリースされました!」と投稿。「これからも多くの信託会社さんがセキュリティトークンの分野に参入されるのではと期待しております!」と結んでいる。2024年度は税制改正をめぐる影響から、発行額が伸びなかったが、2025年度は税制改正の議論に目処がついたことで、発行額の拡大や裏付け資産の広がりが期待されている。▶「日本のセキュリティ・トークン市場総括レポート(2024年度)」を公表:BOOSTRY|文:増田隆幸 |画像:リリースより
不動産セキュリティ・トークンの多様化進む──スターツ、みずほ証券、Securitizeが1口1万円で発行 | CoinDesk JAPAN(コインデスク・ジャパン)
1口1万円の不動産セキュリティ・トークンが登場する。
スターツコーポレーション(以下、スターツグループ)、みずほ証券、Securitize Japanは、不動産セキュリティ・トークン(STまたはデジタル証券)の公募および発行について協働すると5月12日に発表した。基盤には、Securitizeが開発する分散型台帳技術を用いたシステム「Securitizeプラットフォーム」(Securitize PF)を活用する。
関係者によると、信託会社が初めて公募型不動産セキュリティ・トークンを手がけたケースになったという。みずほ証券にとっても、公募型不動産セキュリティ・トークンは初の取り扱いだ。
リリースによると、「スターツ・アセット・トークン~両国・千鳥町~(譲渡制限付)」は、東京都とスターツグループが共同で組成した「官民連携福祉貢献インフラファンド」において認可保育所および共同住宅の複合施設として運営実績がある「福祉貢献型建物」2物件を投資対象不動産とした不動産セキュリティ・トークン。スターツ信託がSecuritize PFを用いて、本STに係る財産的価値の記録および移転に必要な秘密鍵などの情報を管理するという。
商品の概要は以下のとおり。
| | | | --- | --- | | 名称 | スターツ・アセット・トークン~両国・千鳥町~(譲渡制限付) | | 投資対象不動産(鑑定評価額) | プロシード両国2(1,200百万円)/プロシード千鳥町(606百万円):2025年3月末時点 | | 発行総額 | 8.28億円 | | 発行口数 | 82,800口 | | 発行価格 | 1口1万円 | | 申込単位 | 10口以上1口単位 | | 募集有価証券の種類 | 受益証券発行信託の受益権を表象するセキュリティ・トークン | | 運用期間 | 約4年8か月(2030年1月期 償還予定) |
日本の不動産セキュリティ・トークン市場は今年、大きな成長が期待されている。また最近では、クレディセゾンがクレジットカード会社初の不動産STを自己募集で発行するなど、スキームの多様化も進んでいる。
▶関連記事:クレジットカード会社初の不動産ST発行、「セゾンのスマート不動産投資」
「スターツ・アセット・トークン~両国・千鳥町~(譲渡制限付)」は、信託銀行ではなく、信託会社が不動産STの発行者(受託者)となっており、スキームの多様化をさらに進めたものになる。
不動産セキュリティ・トークンをはじめとする、リアルワールドアセット(RWA、現実資産)のトークン化は、グローバルで見ても大きなトレンドとなっている。また3月末に日本での取り扱いが実現したステーブルコインの普及にも大きな役割を果たし得る。
▶関連記事:2つの「S」が未来を切り開く──ステーブルコイン×セキュリティ・トークンで世界規模の「RWAトークン化」競争を勝ち抜く【コラム】
デジタルアセットに精通したTMI総合法律事務所パートナー弁護士の成本治男氏はXに「かなり長期にわたってサポートさせて頂いてきたスターツグループさん(スターツ信託・スターツアセットマネジメント・スターツ証券)による受益証券発行信託型不動産セキュリティトークンの案件がついにリリースされました!」と投稿。
「これからも多くの信託会社さんがセキュリティトークンの分野に参入されるのではと期待しております!」と結んでいる。
2024年度は税制改正をめぐる影響から、発行額が伸びなかったが、2025年度は税制改正の議論に目処がついたことで、発行額の拡大や裏付け資産の広がりが期待されている。
▶「日本のセキュリティ・トークン市場総括レポート(2024年度)」を公表:BOOSTRY
|文:増田隆幸
|画像:リリースより